vol.2

今までとは違う視点・テーマで音楽をとらえて紹介します

蒸し暑い夜に聴きたくなる曲

蒸し暑い夜はベランダに出て、ミントの葉をたっぷり入れた「モヒート」が飲み たくなる。
ヘミングウェイが好んだカクテル、モヒート。ミントの香りが鼻を抜ける爽快さ が、一瞬暑さを忘れさせてくれる。

モヒート
こんな贅沢なひとときに聴きたくなるのは、マイルス・デイビスの「It Never Entered My Mind」だ。クールが代名詞だったマイルス。蒸し暑い夜ならクールもいいけど、収録されているアルバム「ワーキン」は、クールからハード・バップに移行するころの作品。
ミュート・トランペットの穏やかなバラードのなかに、秘めた情熱を感じる。

ときおり心地よい風がベタつく肌を優しく包み込む。ベランダの観葉植物が夜風でかすかに揺れるのを見ながら、ゆったりとしたボサノバで真夏の夜をもう少し楽しみたい気分。

アントニオ・カルロス・ジョビンの「Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)」は〝静寂の星の夜、ギターをつま弾く音だけが漂い、ふたりを包む・・・〟という歌い出し。なんともロマンチックで切ない気持ちになってくる。ジョビンの歌は味わい深く心の中にジンワリとしみ込んでくる。

もう少しこのまったりした時間に浸りたい。さて、2杯目はラム酒とライムが多めのドライなモヒートでも飲もうか。(選曲:ヴォーカル講師:中島雅子)


It Never Entered My Mind

It Never Entered My Mind

マイルス・デイビスの最初のクィンテットで、1956年10月26日に録音されたマラソン・セッション4部作の3作目「Workin' 」の1曲目に収録されている。レッド・ガーランドの美しいイントロのあと、マイルスのデリケートなミュート・ソロが続く。マイルスのバラードの代表作といえる。

Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)

Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)
「イパネマの娘」を始め、「デサフィナード」「コルコバルド」「ジンジ」といった、ボサノバという音楽を生み出した、ブラジルの偉大な作曲家・ピアノプレイヤー・ボーカリストである、アントニオ・カルロス・ジョビン。収録されているアルバム「TERRA BRASILIS」は、ジョビンの歌が堪能できる数少ないアルバム。