雨のドライブで聴きたくなる曲
いつから雨のドライブが好きになったのだろう。
都会の喧噪をかき消してくれる雨の日に、大好きな音楽を聴きながらビルの谷間を走るのが私は好きだ。
清閑な車内の空間には、雨のようにしっとりとして、それでいてリズミカルな曲がよく合う。
私が聴くのは、スティングの「Englishman In New York」。スティングの鼻にかかった甘くて力強い歌声。シンセ・ストリングスの8ビートのレゲエに、16ビートのジャズの演奏が独特のグルーブ感を生み出している。ソプラノサクソフォンの洗練されたフレーズが耳に心地よい。
初めてこの曲を聴いたとき、自分でも弾きたいと思い楽譜を探した。しかし、売っていなかったので、自分で音をひろって楽譜を書いた思い出がある。
ワイパーが動くたびに、視界に広がる景色は、今までのそれとは違って見える。雨が街を洗い流しきれいになっていく過程が私は好きなのだ。
スティングでジャズの助走がつき本格的なのが聴きたくなったので、ビル・エバンスの「Waltz for Debby」を選曲。エバンスの姪が結婚するときに贈ったこの曲のメロディラインは可憐で優しい。私がジャズピアノを勉強し始めたとき、最初に取り組んだ思い出深い曲でもある。
フロントグラスからにじんで見える信号が赤から青に変わる。もう少し雨のドライブを楽しむことにしよう。(選曲:ピアノ講師 岡村佳子)
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Englishman In New York
1987年に発売されたStingの2枚目のアルバム「Nothing like the Sun」に収録。シングルカットもされて全米チャート4位を記録している。
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Waltz for Debby
1961年6月25日、ニューヨークのジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」でライブ録音された同名のアルバムに収録されている。ビル・エヴァンス・トリオによる歴史的名盤。
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