斎場に流れた哀愁の昭和歌謡
「最後のお別れの場に流れる音楽で、故人のお人柄を表すお手伝いをさせていただきたい」という思いから始まった、小社の葬儀部門。おかげさまで、喪家が故人に音楽を献ずる「献奏」、参列者が故人に音楽を供える「供奏」と、それぞれのニーズにあった音楽演出を手がけさせていただいてます。
さて、今回はアコーディオンで昭和歌謡を献奏させていただきました。
享年97歳だった故人は昭和歌謡が好きでした。いつもなら、故人ゆかりの曲をバイオリンやチェロで演奏するのですが、今回はもっと親しみのある大衆的な楽器にしたいということでした。
「三味線、琴、それとも大正琴?」と、葬儀社のスタッフが論議した結果、アコーディオンがいいという結論になったのです。
アコーディオンが奏でる昭和歌謡。なんともノスタルジックな感じですよね。戦後の日本を「流し」が歌い歩く・・・という感じでしょうか?
実はこのお客様は、1年ほど前に息子さんを亡くされています。葬儀は今回と同じ葬儀社で行われたのですが、やはり息子さんも音楽が大好きで、ビートルズやカーペンターズをギターで献奏したのです。故人は息子さんを亡くされたのに、「大好きな音楽を演奏してただいて、息子も一緒に歌っていますよ」と、とても喜んでお声をかけて下さっていたのです。
息子さんの葬儀の印象がとても強かったらしく、今回もぜひ献奏をしたいというご要望でした。
リクエスト曲は、藤原亮子が歌っていた「湯島の白梅」です。都はるみや氷川きよしもカバーしている昭和の名曲のひとつです。「おじいちゃん、おじいちゃんの好きだった曲がかかってるよ。よく歌っていたもんね」と、ご遺族はご遺体に語りかけていました。
初のアコーディオンでの献奏でしたので、どんなものかとスタッフ一同、期待と緊張で見守っていました。結果は「あの抒情的な音が葬儀にぴったり。メロディーに伴奏もつけられるので聞いていて心地良いね」と大評判でした。